示談が必要な理由

被害者がいる犯罪の場合は、示談をすることが最も効果的な弁護活動になります(これに対し、覚せい剤の自己使用などは被害者のいない犯罪と言われます)。
示談をすることで、少しでも被害を回復し、被害者の心情を緩和することは裁判官や検察官が最も重要視していると言えます。実際、示談をすることで起訴される刑事事件が不起訴になったり、逆に示談をしていたから執行猶予がついたが示談をしなければ実刑であったという刑事事件は数多くあるはずです。

これは考えてみれば当たり前のことです。被害者から100万円のお金を盗んで使ってしまった人物が何も被害者に弁済しない場合と被害者に示談金を渡し、示談を成立させた場合で刑罰が同じではかえって不公平になります。
また示談をしようとする姿勢そのものが本人が自分の行為が悪かったものだと理解し反省していることの証とも言えます。
示談が有効という話をすると、それでは示談するお金がある人が助かり、お金がない人は実刑になるのかという人がいますが、それは被疑者、被告人からの視点で物事を見ているからです。
被害者の視点から見れば少しでも被害を回復する必要があることは明らかです。示談により自身の行為を清算することは、過去を償い将来を踏み出すためにも貴重な機会になるはずです。

示談交渉の流れ

示談をする場合は、弁護士をつけることが必須と言えます。
被害者は被疑者や被告人と直接やり取りすることを嫌がりますし、名前や住所、電話番号などの連絡先を教えることも拒否するのが通常です。

そのため、示談交渉に入る場合は、まず弁護士が警察や検察に連絡を取り、「被害者に謝罪し示談をさせていただきたいので、被害者に連絡を取ってくれないか。もちろん被害者の情報は弁護人限りとし本人は伝えない」旨、話します。
警察や検察が被害者と連絡を取り、被害者の了解が得られれば弁護人に被害者の連絡先が伝えられます。

被害者の連絡先が聞けた場合は、弁護士から連絡をして、本人の反省や謝罪の言葉、示談をしたい旨伝えることになります。
電話で示談の内容まで伝え、会う際には示談の中身は概ね決まっている場合もありますし、電話では会う約束を取り付けるだけの場合もあります。また、電話ではなく手紙を送ることもあります。
どのような手段、方法で示談交渉を進めていくかは、事案の内容によって変わります。
事件に大きいも小さいもないとは言いますが、現実として、まともな感覚を持っている弁護士であれば殺人事件の遺族に電話でいきなり示談金の話などできるはずがありません。
一方、小売店での万引きや、電車内での着衣の上からの短時間の痴漢行為等の場合は、何度も時間を取られるのは嫌なので電話で話の内容を決めて、会うのは1回にしたいと希望する被害者の方も少なくありません。

被害者と合意に至れば示談書を作成し、これを検察庁や裁判所に提出することになります。
合意にいたらない場合は示談はあきらめざるを得ません。
「どうしても許せない」と被害者が思うのはある意味当然です。また残念なことですが法外な値段の示談金を要求する方もいます。

示談が成立しないという場合でも、交渉が無意味になるわけではありません。被害者に謝罪の言葉を伝えようとした事実や被害弁償をしようとした行為は当然のことながら評価されます。
また、示談ができない場合には、弁護士会やその他の機関に贖罪寄付をするという手段もあります。

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